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しょうわゆうげきたい
昭和遊撃隊
平田 晋策
「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页
何か日本海軍の秘密が聞き出せるかも知れないぞ。スミス少佐。何とかして、あれを捕まえる方法はありませんか。」
「だめです。波が荒くて、とても近よれません。」
「残念だなあ。可愛い顔をしている下士官だ。あんな少年を見殺にするのは、敵ながら可哀そうな気がするね。」
「あわれな奴です。やがて鱶におそわれて、食い殺されてしまうでしょう。」
スミス少佐も、暗い顔をして、下をのぞいた。
「さっき敵艦が潜水する時に、一人だけ甲板に取り残されたんだね。せめて救命袋に食糧品をくくりつけて、投げてやれ。」
望遠鏡から離れた博士の眼には、ぽっつりと涙が浮んでいる。
「ね、スミス少佐、あの少年下士官は、僕の長男のアーサーと同じくらいの年ごろだ。ひどい波にゆられながら、勇敢に泳いでいるよ。あまり、けなげだから、僕は、かえって、なんだか悲しくなって来たぞ。」
やがて、博士の涙とともに、浮袋が投げられた。
「敵国の少年よ。最後まで勇敢なれ!」
『荒鷲』の乗組員は、波にもまれるあわれな少年下士官に、別れの敬礼を送った。
雨がにわかに激しく降り出した。太平洋の夕暮は、悲しみの闇にとざされてゆく。