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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

「あッ、艦長。浸水しましたッ。」

けたたましい叫声と一しょに、海水がひびの入ったすき間から、どッと噴き出した。

「しまったッ。」

青木司令官は、さっと顔色を変えたが、もうおそい。

海水は瀑のように流れこみ、みるみるうちに『八島』の中は水びたしだ。

「残念だ。」

「おれはもっと暴れたかったなあ。」

水兵たちの口惜しがる声を聞きながら、青木大佐は、壁に向ってペンキの刷毛を動かした。悲しい最後の言葉を書きつけるのだ。

「陛下の艦を失って申しわけなし。

紅玉島を攻撃したことが、無念の中の本望なり。

部下は一人として死を恐れず、軍紀厳正なり。

臣青木大佐、死しても護国の鬼とならん」

白ペンキの壁に、黒ペンキの色があざやかである。

水はもう胸まで来た。

「司令官、自分にも一筆書かして下さい。」

柴田少佐は、泳ぎながら、天井へ黒々と刷毛をふるった。

「大元帥陛下万歳

帝国海軍万才

紅玉島一番槍

潜水カン八島 万ザイ。」

ああもう最期だ。少佐の黒い頭が渦巻く水の中へかくれてしまった。火が消えて、あたりはまっ暗になった。

どこから嗅ぎつけたのか、『海の殺人鬼』の鮫が、十匹、十五匹と牙を光らせて、しのびよって来る。