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さいしゅうせんそうろん

最終戦争論・戦争史大観

石原 莞爾

石原莞爾『最終戦争論・戦争史大観』。同一底本的分册已合并为一书。收入:最終戦争論、戦争史大観。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,783 字 · 305 页

青空文庫

敵の奇襲に対し倉庫の掩護は容易ならぬ大問題であった。

4、道路及び要塞

欧州道路の改善は十八世紀の後半期以後急速に行なわれたもので、ナポレオンは相当の良道を利用し得たけれども、フリードリヒ大王当時は幅は広いが(軍隊は広正面にて前進し得た)ほとんど構築せられない道路のみで物資の追送には殊に大なる困難を嘗めた。

水路はこれがため極めて大なる価値があり要塞攻撃材料の輸送等は川に依らねばほとんど不可能に近い有様で、エルベ、オーデル両河は大王の作戦に重大関係がある。

十七世紀ボーバン等の大家が出て築城が発達し、各国が国境附近に設けた要塞は運動性に乏しかった軍の行動を掣肘する事極めて大きかった。

以上の諸事情に依って戦争に於ける武力の価値は低く、持久戦争中でも消耗戦略の機動主義に傾くは自然と云うべきである。

当時の戦争の景況を簡単に説明する事にしよう。

一国の戦争計画は先ず第一に外交に重きを置き、戦役計画の立案も政治上の顧慮を重視して作戦目標および作戦路を決定し、その作戦実施を将軍に命令する。

攻勢作戦を行なわんとせば先ず巧みに倉庫を設備する。倉庫は作戦を迅速にするためなるべく敵地に近く設くるを有利とするも、我が企図を暴露せざるためには適当に撤退せしめねばならない。