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さいしゅうせんそうろん

最終戦争論・戦争史大観

石原 莞爾

石原莞爾『最終戦争論・戦争史大観』。同一底本的分册已合并为一书。收入:最終戦争論、戦争史大観。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,783 字 · 305 页

青空文庫

う。

戦略的に見れば戦力の著しく劣った仏国は国境で守勢をとるべきであり、軍当局はこれを欲したであろう。しかし政略はこれを許さない。止むなく有力な主力軍をベルギーに進め、ドイツの電撃作戦に依って包囲せらるるや、利己主義の英国はたちまち地金を現わして本国へ退却の色を見せる。若し英国が真に戦うならば本国は全く海軍に一任し、あらゆる手段を尽してその陸軍を大陸に止むべきであった。英国の態度はベルギーの降伏となり、フランスの戦意喪失となったのは当然である。

かく考えて来る時は無準備でしかも統一と感激なき自由主義国家と、鉄の如き意志に依り完全にしかも深き感激の下に統一せられ、総力を極度に合理的に集中運用せる全体主義国との対立であって、断じて相匹敵する戦争力の争いではない。即ち時代が決戦戦争となったのでなく、両方の力の著しき差があの歴史上無比の輝かしき決戦戦争を遂行せしめたのである。

特にこの際我が国民に深き反省を要求するのは、自由主義国家と全体主義国家の戦争準備に対する能力の驚嘆すべき差である。老大富裕国英仏が、戦後の疲れなお医し切れなかった貧乏国ドイツに対し、ナチス政権確立後僅々数年でかくの如き劣勢に陥ったのである。