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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
吉川英治『柳生月影抄 名作短編集(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:柳生月影抄、下頭橋由来、脚、べんがら炬燵、大谷刑部、鬼、春の雁、旗岡巡査、茶漬三略。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 页
言葉の意味は厳しいが、粂之介の思い遣りは温かだった。お那珂の顔を見ると、懇ろにこう諭すのだった。
お那珂は泣いてばかりいた。
そして、叱られても、叱られても、この家に来ずにいられなかった。
この家というのは、烏山の町の山倚りにある三島神社の社家だった。粂之介はそこの神主で、海後磋磯之介の実兄であった。
「おばさま、こんな物、つまらない物ですけど、お子様に上げて下さいませ」
今夜も、夕方からお那珂は話しに来ていた。主人に顔を見せるとまたいわれると思ってか、菓子や煮物など持って来ては、粂之介の妻だの、子供たちの中に交じって遊んでいるのだった。
お那珂は、町の木綿問屋の二番目娘だった。主人の弟の磋磯之介に前から心を寄せていたことを、粂之介の妻はよく知っていた。
娘時代のそうした気持がわかるだけに、妻女のおかやには、
「お那珂さん、御舎弟の磋磯之介様が、万が一にでも、ここへおいでになったら、きっと会わせて上げますから、それまでは、主人のいうように、あまりここへは来ない方がようございますよ」
その程度にしか、いえないのである。
「ええ……」
お那珂は、すぐ涙ぐみ、