轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
「それでね、これもあとから分ったことだが、子爵が心配をされてね。僕を訪ねて、色々と奥さんの容体を聞かれたのだが、僕の返事はいつも一つです。大分およろしい様です。間もなく御全快でしょう。とね。ハハハ……」
酒の為に異様に饒舌になった医学士は、前後の考えもなく喋るのだ。
「では、あなたは、無報酬の主治医を勤めた訳ですか」
「どういたしまして、僕は主治医としての謝礼は決して辞退しなかったですよ。僕は奥さんを診察するというのに、奥さんの方で見せないのですから、仕方がないじゃありませんか。それに、川村画伯の事を分けてのお頼みもありましたしね」
川村と聞いてわしはギョッとしないではいられなかった。やっぱりそうだ。瑠璃子の奇病の蔭には川村奴の悪智慧が働いていたのだな。アアわしは何という馬鹿者だったろう。
「ホウ、川村画伯というと、若しや川村義雄君のことではありませんか。大牟田の親友だったという」
わしはさりげなく聞き返した。
「そうです、そうです。あの川村さんです。あの人が僕に頼むのです。この方は、さる良家の奥さんだが、身体のおできをひどく恥かしがっていられる。それを、旦那様に見せるのが、いやさに、こうして湯治に来ているのだ。