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はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页

青空文庫

見れば見る程愛らしい。アア、世の中にこんな美しく愛らしいものがあったのかしら。瑠璃子がそこにいると、近くの品物がみんな美しく、楽しく見えて来る程だ。

皆さん笑って下さい。結婚後しばらくすると、わしは瑠璃子を湯に入れてやるのが無上の楽しみとなった。わしは三助の様に、我が妻の美しい肌をこすってやった。桃色にゆだった、水蜜桃の皮の様にきめが細くて、眼にも見えぬ産毛の生えている、あれの肌から、モヤモヤと湯気の立つのを眺めるのが、わしは大好きであった。よれて出る垢までが、わしには、こよなく美しいものに見えた。

わしは、召使共の蔭口もかまわず、風呂の立つのを待ちかねる、痴漢となり果ててしまった。

わしがそんな風だものだから、瑠璃子の方でも、わし丈けには令夫人のよそ行きの作法を捨てて、なれ親しんだ。はては、熊使いの見世物師が、目くばせ一つで、荒熊を自由自在に動かす様に、彼女も目一つで、わしを意の如く動かすやり方を覚込んでしまった。

二人切の場合には、わしは瑠璃子の忠実極まる奴隷であった。どうすれば彼女が喜ぶかと、それのみに心を砕いた。

彼女は、何か嬉しいことがあると、