轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
その棺の中には、川村義雄の死骸が、腐りただれた不義の嬰児を抱いて横わっていた。わしが予めY温泉の別邸から運んで置いたのだ。
瑠璃子は、わしの声を聞くと、機械仕掛けの様にクルッと振返った。彼女はもう怖がってはいなかった。忽ち夜叉の形相となって、わしに食ってかかった。
「あなたは誰です。こんなものを見せて、あたしをどうしようというのです」
「わしが誰だって? ハハハ……、お前はこの声を聞き覚えがないと見えるね。わしが誰だかということはね。サアごらん、この第三の棺桶を見れば分るのだよ。ホラ、蓋がこわれているだろう。そして中は空っぽじゃないか。この棺は一体誰を葬ったんだろうね。その死人は棺の中で生返ったかも知れないぜ。そして、もがきにもがいて棺を破り、この墓穴を抜け出したかも知れないぜ」
瑠璃子は空ろな目でわしの顔を見つめたまま立ちすくんでしまった。彼女にもやっと事の仔細が分り始めたのだ。
「覚えているかね。わしは昨日お前に三つの約束をした。第一はわしの財宝を見せること、第二は川村義雄に逢わせること。そして第三はホラ、この黒眼鏡をはずすことだったね」
わしは眼鏡をかなぐり捨て、大牟田敏清の眼をむき出しにして、ハッタと姦婦を睨みつけた。