轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
余りと云えば、むごたらしいなさり方だ。
わしの生前に、悪業があったのですか。わしは友達を愛した。妻を可愛がった。だが、人間は勿論、虫けらさえも、故なく苦しめた覚えはない。それに、それに、この様な、ためしもない地獄の呵責を受けなければならぬとは。
わしはいやだ。一度の死は、悲しくとも苦しくとも、何人も免れぬ所だ。苦情は云えぬ。だが、一度死んだのでは足らず、人間最大の苦しみを、二度まで繰返さねばならぬとは。いやだ、いやだ。わしは迚も我慢が出来ない。どんなことをしてでも、この穴蔵を出ないで置くものか。
わしは気違いの様に、出る限りの声をふり絞ってわめいた。わめき続けた。はては、子供の様にワアワアと泣き出した。鹽っぱい涙が、口の中へ流れ込んだ。
だが、わしの破れる様な叫声、泣声は、四方の壁に谺して、二倍三倍の怪音となって、わし自身の耳にはね返って来るばかりだ。穴蔵は淋しい郊外の小山の中腹にあるのだ。そこの細道は、わしの家の葬式の外は、滅多に人の通らぬ所だ。いくら叫んだとて、誰が助けに来るものか。又仮令わしの声を聞きつけるものがあったとしても、その人はわしを助け出すどころか、却って、気味悪がって、一目散に逃げ出すに極っている。