轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
漆喰に五六分程の深さの穴が出来たと思う頃、又しても穴蔵の中は真の闇に包まれてしまった。
手探りでは仕事が出来ぬ。ダンテスには窓の光があったのだ。光もなく、食もなく、どうして仕事が続けられるものか。しかも、石壁は決して一重ではない。厚さ一尺以上もある頑丈なものだ。
わしは、地上へ倒れ伏してしまった。もう泣かなかった。泣こうにも、身体中の水分が、一時間の労働で出尽してしまったのだ。涙の源がかれ果てたのだ。
数時間の間、わしは死んだ様に動かなかった。わしはウトウトと夢を見ていた。甘そうに、ホカホカと湯気の出ている饅頭の山を見た。えましげに、わしによりそって来る瑠璃子の姿を見た。なみなみと水をたたえた池を見た。食慾と愛情とが、交互にわしを責めさいなんだ。
やがて、空腹は遂に肉体的な痛みとなって現われて来た。胃の腑がえぐられる様に、キリキリと痛み出した。
わしは、しわがれた声をふり絞って、のたうち廻った。死に度い、死に度いと叫び続けた。死にまさる苦しみに耐え得なかったのだ。
では、自殺をすればよいではないか。
事実、わしは自殺を企てた。刃物がないので、例の燭台の先で胸を突こうとした。