轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
た。そのことは東京の新聞にさえのった程だから、記憶のよい人は、今でも覚ているかも知れぬ。首領の名は、朱凌谿と云って、関羽髯を生やした雲つくばかりの大男であった。わしはそいつと物を云ったこともあるので、よく知っている。大きな帆前船を持ち、何十人という子分を養い、数年の間、巧に支那日本の官憲の目をくらまして、莫大な金銀をかすめ取った、稀代の海賊であった。その朱凌谿がまた、わしの物語に、なかなか大切な役目を勤めているのだ。あいつがいなかったら、わしもこの様な身の上にならなくて済んだかも知れない程だ。
今時海賊なんているものかと、本当にしない人があるといけないから、念の為にお断りして置く。今でも海賊がないことはない。風の便りに聞けば、何とやら云う日本人が、つい一二年前北の方の海で露西亜人を対手に、海賊を働いて、刑務所につながれたということではないか。当時の朱凌谿という奴も、その何とやらいう日本人に劣らぬ、有名な海賊であった。朱凌谿のかすめ貯めた財宝は無尽蔵だと、支那の金持ちなどは、羨ましがっていたという位だ。
イヤ、前置きが長くなって、ご退屈じゃろう。それでは、これから愈々わしの恐ろしい身の上話を始めることにする。