轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
いとしい妻にも会える。親友の川村と話をすることも出来る。元の楽しい生活がわしを待っているのだ。わしは余りの幸福に、何だか嘘みたいな気がして仕方がなかった。夢ではないかしら。夢ならさめるな。この歓喜のあとで、もう一度絶望が来たら、わしはたちどころに死んでしまうだろうから。
わしは嬉しさに、ガタガタ震えながら、両手を棺のふちにかけて、中のほら穴へ足を入れ、ソッと探って見ると、あった、あった、土を掘った階段の様なものに足の先が触った。もう間違いはない。わしは愈々助かったのだ。
白髪鬼
棺の底の階段を降りて、真暗な狭いトンネルを這って行くと、ポッカリ山の中腹へ抜出すことが出来た。入口は灌木の茂みに覆われ、外からは全く気づかれぬ様になっている。
先ず頬に当るは吹馴染の海の風だ。その風を懐しく吸い込みながら、茂みを分けて這い出して見ると、中天に皎々たる月が懸り、見おろす海面には、美しい銀波が躍っている。サテは夜であったか。有難い有難い、この異様な経帷子の姿を、人に見られなくても済み相だ。
それにしても一体何時頃かしら。町の方を眺めると、燈火がイルミネーションの様に美しく輝いている。