轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
わしは恥かしさをしのんで、執事の北川にこの縁談を取結んでくれる様に、頼み込んだ。調べて見ると、貧乏はしているけれど、家柄は悪くない。本人も誠に躾の行き届いた、かしこい娘だ。子爵夫人として決して恥かしくはない。
親族の中には、不賛成を唱えるものもないではなかったが、何を云うにも、本人のわしが、あの娘を貰ってくれなければ、死んでしまうという見幕だから、結局無理を押し通して、結婚式を上げる運びとなった。そして、わしは生れて初めて女というものを知ったのだ。しかも、その名の如く、瑠璃の様に美しい女をだ。
アア、今思い出しても、この老朽ちた胸が躍る様だ。それから二年の間というもの、わしはただもう、甘い薫の、あたたかい桃色の雲に包まれて、フワリフワリと天界を漂っている様な、何とも云えぬ楽しい月日を過したものだ。
大阪の伯父の所へ旅行していて、わしの結婚式に間に合わなかった川村義雄は、婚礼がすんで三日目の日に、わし達夫婦を訪ねてくれた。彼は外の誰より深くわしらの結婚を祝ってくれた。
「君は本統に仕合せものだぜ。黙っている奴が曲者とは君のことだ。今まで女嫌いを看板にしていた君が、東京や大阪の社交界にだって、滅多に見当らぬ様な、日本一の美人を妻にするとは。