轻松读懂日语经典作品
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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
関東筋でも躍起になって探りを入れたんだが、そのうちにバッタリ評判を聞かなくなったから、流言蜚語だったんだろうで済んでしまった。……ところが、今日の二時ごろ、真名古が松沢の店へ三百カラットもあろうというちょっと風変りなダイヤモンドの模型を持って来て、これと同じ模造品が欲しいの、本物ならどのくらいするかのと何気ない体で調査をして行った。松沢は海千山千だ、そこに抜目のあろう筈はない。チラリと奥の部屋から睨んだ模型を手懸りにその方の番附を繰って見ると……、おい、驚いちゃいけない、それァ安南皇室の秘宝で「帝王」という大金剛石なんだ。捨売りにしても五千万両。……どうだ」
「成程」
「皇帝がなんのためにこう気忙しく度々日本へやって来るか、これですっかり謎がとけた。鶴子と二人で京都の山科に巣籠っていたのは、関西でそのダイヤモンドを捌くつもりだったんだが、そちらでは話が纒まらず、それで、今度は東京へやって来た」
「フム、面白いナ」
幸田はグッと泡盛を呻りつけ、
「そこで松沢は血相を変えて、それからそれと筋を手繰って見たんだが、大手筋にも小手筋にもてんでそんな気振はない。ひょっとすると正当筋違いに動いているのかとその方へ探りかけてみると、例の珊瑚王の山木の伜が、犬居仁平の養子の印東忠介とツルんで、最近しきりに犬居のところへ出入して