轻松读懂日语经典作品
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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
真名古は膝の上に静かに本をおくと、
「どうだ、美しい話だね」
という。花はうっとりしたような声で、
「気の毒な話ですわ。それでその雀はどうなったの。犬に喰べられてしまったのでしょうか。後を読んでください」
真名古は唇の端を皺めて、
「もう、これでお終いだ」
花子は目を瞠って、
「つまらない。なぜそれでお終いなんですの」
「なぜこれでお終いにしてあるかといえばだね、作者はその後はこちらの想像にまかせたかったからなんだろう」
といって、うっそりと面を上げて花子の顔を瞶めながら、
「お前さんはどっちにしたい? 雀を犬に喰わせたいか、それとも、雀を助けたいか」
「あたしなら、もちろん雀を助けたいけど、しかし犬は同情なぞしないでしょう。喰べてしまうにきまってます。やむを得ないことですわ。……たとえばあなたが、犯人が気の毒だと思ったって逃がしたりなどしないでしょう、それと同じことですわ」
真名古は妙な咳払いをして、
「そうだ、そうだ。決して逃がしたりなどしない。……お前さんは美しくて、そのうえ大変気だてもいいようだ。率直にいうと、私はお前が好きだ、が、もしお前が犯人なら、お前を見逃すようなことはしない。