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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
それから一旦警視庁にとって返すと、例の四銃士を呼び寄せて、今暁有明荘の六人が「カーマス・ショオ」の六人とつるんで泊り込んだ築地の待合「すず本」の検証、現警視総監すなわち前京都府警察部長と松谷鶴子の身元調査、並びに元日の午前三時五十分から四時五十分までの総監の行動調査を命じた。
その結果、「すず本」の方は庭からも裏木戸からも最近人の出入りした模様はないということになった。つまり犯人は有明荘の六人の住人のうちにはないということになったのである。ところで身元調査の方は、総監と松谷鶴子の家は京都市東山区山科町の同番地でこの両人の間に以前何かの知人関係があったということが判った。
第三の調査の方は、いわば推理の大団円といったようなもので取調べの結果、総監は午前三時五十分に自らロード・スタアを操縦して溜池交叉点を通過し、同四時四十分に赤坂見附を経て警視庁の附近まで帰っている。つまり、総監は殺人現場に近い溜池から赤坂見附までの、わずか三分ぐらいで行かれる間を五十分もかかっているのである。ここに至っては、もはやあやふやだなんていう点は少しもない。ところが真名古はそれでも飽き足らずに、奇妙な方法で花子に犯人の首実験までさせている。