轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
者を逮捕しましたから、この方の口を開かせれば何か意外な手懸りが得られるのではないかと思っております。今日、先ほど申しました「お茶松」という賭場にルーブ・ベースの歓迎賭博会があって、その座に岩井通保と川俣踏絵の二人もいまして、この方は逸早く風を喰って逃走しましたが、賭場の使番の自白によって、川俣踏絵の方は馬道へんの簡易旅館に潜伏している山木元吉のところへ行く筈だということで、直ちに手配しましたから、この二人の方も間もなく逮捕されることだと思っております。何しろどうも際どい時間になりましたが、この三人を極力追及すれば、必ず筋が手繰れるわけで、皇帝誘拐の犯人もその辺から足がつくのではないかと思っております。ところが……」
といって、額を撫で、
「ところが、さらにもう一つ困ったことが出来したので……」
外務大臣は、ウウムと唸り声を発し、
「まだあるのかね、今度は一体何だい」
とこれも机にうつ伏してしまう。警保局長は呟くような声で、
「……はなはだ申上げにくいことですが、……じつは、われわれが苦心惨憺してこしらえた皇帝の替玉が、夕景からホテルを逃げ出してしまいました。