轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
犯行を六時以前に終えたという所以は、ちょうど正六時に照明係が地下の電気室へ降りて来て電気の故障を修理しましたが、この時には死体らしいものを見掛けておらないからであります」
真名古は無感動な様子で、
「なるほど、大体そんなところだ。だがね、君は頸を締めてから板石で顔を打ったというが、それは間違いだ。あの繩は頸を締めるためではなくて、死体を運び出すために頸へ掛けたのだ。絞殺すのにあんな手の混んだ結び玉を作る暇はないだろうじゃないか。また索溝の具合を見ると、顎の下から斜上に耳の下のところまで残っているが、その上はなくなっている、これによってもその繩は頸を締めるためではなくて、死骸を現場から引きずり出すためだったということがわかる。……それにしても、なぜこんな妙なことをしたのだろう。担ぎ出せば簡単なものを、なぜ頸に繩を掛けて引きずったりしたのだろう」
「もし、そうだとすると、それは大急ぎで死体を持ち出す目的でそんなことをしたのだろうと思います」
真名古は頷いて、
「それもあろう。大抵の場合、担ぐよりも引ずり出す方が早いのだからね。しかし、この場合は、そのほかにもっと必然的な理由によったのだ。