轻松读懂日语经典作品
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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
若い教習所の警官などは、その風貌に接するだけですっかり感激してしまう。真名古の顔を見るとその警官はたちまち度を失って、あわてて直立不動の姿勢をとると、
「真名古課長!」
「いま僕が報告書を書くから、至急電話で本庁に通達してくれたまえ。どんなことがあっても四時前に報告を終えねばならん非常事件だから。……時に今何時だ」
いそがしく懐中時計の文字盤を読んで、
「四時五分前でございます」
「あと廿分か。まだ間に合う。燈を貸してくれ」
懐中電燈を取り出して真名古の手元を照らしかけながら、感激で身体を顫わせながら、
「課長、……光栄でございます。課長とは存ぜずにうろたえたところをお目にかけましたが、……自分は小梅署に在勤いたします安藤……」
真名古はジロリと一睨みをくれて、
「うるさいから、黙れ」
懐中から手帳を取出して、手早く三行ばかりの文字を書きつけると、これを警官に手渡す。
「報告が終えたら、またここへ戻って来い。……さア、走れ!」
ハッといって、咄嗟に身をひるがえし、飛ぶように駆け去った。
真名古はそのあとを見送ると、また手帳を膝の上へひろげて、悠々と何事かをしたため始めた。