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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
七
と、断った。
七
まだ夕空は明るかった。水にそって歩くのはなんとなく心の暢びるものである。人の忙しがる黄昏れを、用もなげな顔をして歩くのはなおさらいい。
「灰屋紹由どの――お名前はよく耳にするお方のようですが」
武蔵がいう。
ぶらりぶらり足をあわせながら、それに答えて、光悦がいう。
「聞いているでしょうとも、連歌のほうでは紹巴の門で、もう一家を成している人ですから」
「ハハア、連歌師ですか」
「いえ、紹巴や貞徳のように、連歌で生活を立てている人ではありません。――また私と同じような家がらで、この京都の古い町人です」
「灰屋という姓は」
「屋号ですよ」
「何を売る店なので」
「灰を売るのです」
「灰を? ――何の灰をですか」
「紺屋が紺染めに使う灰なので、紺灰といっております。諸国の染座へ卸すので、なかなか大きな商売です」
「アアなるほど、あの灰汁水を作る原料ですな」
「それは莫大な金額にのぼる取引なので、室町の世の初期ごろには、御所の直轄で、紺灰座奉行をやっておりましたが、中期頃から民営になりまして、紺灰座問屋というのが、この京都に三軒とか許されていたものだそうです。その一軒が、灰屋紹由の先祖でした。