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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

二人小次郎

一

そう肚は極めたものの、今夜の寝床のあてもなかった。泥と草で傾いているようなそこらの細民窟の家でも、そこの人間には、廂と戸があると思えば、又八は羨ましくてならなかった。

二人小次郎

一

さもしい彼の眼は、つい、そこらの家を覗いてみた。どこの家も、ひどく貧乏だった。

けれどそこには、一つ鍋に向い合っている夫婦がある。老母を囲んで夜業の手内職をしている兄妹がある。物質には極端にめぐまれていない代りに、秀吉や家康の家庭にはないものをお互いが持ち合っているらしい。それは、貧しいものほど濃い骨肉愛だった。そのいたわり合いがあるばかりに、この細民窟は、餓鬼の住み家にならなかった。やはり人間のあたたかさを持っている。

「おれにも、老母があった。――どうしたろう、おふくろは」

急に、又八は、思い出された。

つい去年の暮、行き会って七日ほど一緒にいただけで、すぐ、つまらない母子同士のわがままから、途中で捨てて別れてしまった限りになっている。

「――悪いなあ、かわいそうなおふくろだもの……。どんなに好きな女をこしらえてみても、おふくろほど、心からおれを愛してくれる女はなかった」