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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

七

「では、先へ出て、待っていてくれ」

「お師匠さまは」

「ちょっと、吉野どのに挨拶を申して、すぐ行くから」

「じゃあ、外へ出て、待っているよ」

そんなわずかな間も、彼のそばを離れるのは、多少不安がないでもなかったが、今夜の城太郎はもう、なにを命ぜられても、至って素直になりきっていた。

七

この三日ほどを、この隠れ家のうちで、武蔵は、われながら、愚に返ってよく遊んだと思う。

例えていうならば、今日までの自分の心神や肉体という物は、ちょうど、緊りつめている厚氷のようなものであったと思う。

月にも情を閉じ、花にも耳をふさぎ、太陽にも胸をひらかず、ただ冷たく凝結していた自分というものが、顧みられる。

そうした精進一途な自分のすがたにも、彼は、正しさを信じているが、同時に、狭くて小さい一個の頑固者にすぎないものが――自分となることを彼はおそれかけた。

沢庵からずっと前に、

(おまえの強さは、獣の強さと変りがない)

といわれたり、また奥蔵院の日観からも、

(もっと弱くなれ)

と忠告されたりしたことを思いあわせると、武蔵はこの先ともに、この二、三日のような悠暢な日を持つことが、自分には大事であると考えた。