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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

虫焚き

一

それも、武蔵の考えていた通りであった。

猟師だとか、薬草採りだとかいっていたのは勿論うそで、この山に巣喰う賊であることは疑ぐってみるまでもない。

けれど、さっき、

(時節が来るまで)

と、途々いった言葉は、ほんとであろう。

どんな盗賊でも、子孫まで盗賊でやって行こうと考えている者は一人もあるまい。乱世の方便としての世渡りに、諸国には今、山賊と野盗と市盗が急激にふえつつある。そして、いざ天下の合戦となると、これが皆、一かどの錆槍とボロ鎧をかついで、陣借りして、真人間に生き甦るのだ。――ただ惜しいかなこの手輩は、雪の日、客に梅を焚いて、時節を待ちながらも時節を度外している雅懐はないのである。

虫焚き

一

火縄を口に咥え、一人は二度目の弾込めをしているらしい。

もう一人は、身を屈めて、こっちを見ている。対岸の崖の下へ、武蔵の影が仆れはしたが、なお疑って、

「……大丈夫か」

と囁いているのだった。

鉄砲を持ち直したのが、

「確かだ」

と、うなずいて、

「手応えがあった」

という。

それで安心して、二人は丸木橋を頼って、武蔵の方へ渡って来ようとした。

鉄砲を持った方の影が、丸木橋の中ほどまでかかって来ると、武蔵は起き上がった。