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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
三
「では、わしが」
と床の間へ直った。
武蔵は、光悦のあとへ坐って、幾分かいる所を得た気もちがしたが、なにかしら、大事な時間を、つまらなく費しているような気もしていた。
三
次の間の隅には、ふたりの禿が仲よく炉のそばに並んで、
「――これ、なあに?」
「――禽」
「じゃあ、これは」
「うさぎ」
「――こんどは?」
「……笠の人」
指と指を組みあわせて、屏風へ影絵を映しながら、うしろ向きに遊んでいた。
炉はもちろん茶式のもの、釜口から昇る湯気は、部屋を暖めるに役立っている。いつのまにか隣には人が殖え、酒のかおりや人肌も、外の寒さを忘れさせていた。
いやそれよりは、そこにいる人たちの血管に、ほどよく酒がめぐって来たのが、この部屋が暖かくなったと感じられてきたなによりの原因であろう。
「わしはなあ、こういうと、息子どもへ意見ができぬことになるが、世の中に、酒ほどよいものはないと思うておる。酒――はよくないものと、極道の毒水みたいにいうのは、あれや酒のせいじゃあるまいて。酒はよいものじゃが、飲み人がわるいのじゃ。何でも、人のせいにするのが人間のくせでな、気狂い水などといわるる酒こそよい迷惑よ」