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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
といいかけて、しばらく、耳を澄ましてからまた――
「かすかに聞えて来たでしょう……遊廓の絃歌が」
「なるほど、聞えます」
「あの音曲などにしても、新しく琉球から渡来ってきた三味線を工夫したり、またその三味線を基礎にして今様の歌謡ができて来たり、その派生から隆達ぶしだの上方唄だのが作られたり、そういったものは、すべてあそこが母胎といってよい。あそこで興ったものを後から一般の民衆が受けとるのですから、そういう文化のほうでは、一般の町と遊廓とも、ふかい因果関係があるわけですな。だから、遊廓だから、町の隔離してあるところだからといって、あそこがどんなに穢ならしくてもよいということはいえません」
駕がその時、急に道を曲ったので、武蔵と光悦の話も、それなり打ち切られてしまった。
二条の遊廓も柳町とよび、六条の遊廓も柳町と称ぶ。柳と遊廓とは、いつの頃からそう付き物のようになったものか、その柳並木に綴られた無数の灯が、もう近々と武蔵の眼に映ってきていた。
二
光悦も灰屋紹由も、ここの青楼は馴染みとみえ、門の柳へ、駕が下りると、
「船ばし様」
「水落様も」
と、林屋与次兵衛の店では、下へも置かないという迎えよう。