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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

(……?)

ふと彼は振向いてみた。

清十郎と出会った蓮台寺野の丘の松が、ひょろりと彼方に見える。

(二太刀とは打たなかった。生命にかかわるようなことはあるまいと思うが)

彼は、そこへ打ち捨ててきた敵の容態をふと案じた。手に引っ提げている木剣の刃を検めて見たが、木剣には血はついていない。

今朝――この木剣を帯びて場所へ来るまでは、敵には定めし大勢の介添もついていようし、わるくすれば、卑怯な計画もあろうにと、死所の覚悟はもちろんのこと、死に顔のわるくないよう、歯も白く塩でみがき、髪まで洗って出向いたものだった。

そこで、当の相手の清十郎に出会ってみると武蔵は、自分の想像していた人物とは、まったく違った人間のように思われて、

(これが、拳法の子だろうか)と疑った。

武蔵の眼に映った清十郎は、京流第一の兵法者とはどうしても見えない――いわば都会的な線のほそい公達だった。

ひとりの奉公人を召し連れて来ているほか、介添も助太刀もいないらしいのである。お互いに名乗り合って立ち合う途端に、武蔵は、

(これは、やる試合でなかった)

と、胸のうちで悔いた。

武蔵が、求めているのは、常に自分以上のものだった。