輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

三

――武蔵はふとこの言葉に思い当って、

(くそっ、こんなことで)

と、心に鞭を加え、

(女々しい!)

お通のことなど、塵ほども胸に止めまいとした。

さっき袂を振り切る時、そのお通に向っても、いったばかりではないかと恥じる。

(男が男の使命に向って、挺身する時は、恋など、頭の隅にもおいていないのだ――)と。

そういいつつ今、果たして自分の頭の中から、お通のことは捨て切っているのだろうか?

(なんたる未練だっ)

心の中から、お通の幻影を蹴とばして、そしてそれから遁れ去るように、彼はまた、驀しぐらに駈けていた。

――と、眼の下の大竹藪からさらにずっと山裾へかけて展けている樹林や畑や畷を縫って、一筋の白い道が見えた。

「おっ!」

すでに近い。――一乗寺下り松の辻は近い。その一筋の道を眼で辿ってゆくと、およそ二町ほど先の所で、他の二筋の道と結び合っている。乳いろの霧の微粒が静かにうごいてゆく空に、傘枝を高くひろげた目印の松が、もう武蔵の目にも見えたのである。

――はっと、彼は地へ膝をついた。背にも、前にも、いやこの山の樹木すら、すべて敵かのように、彼の五体は闘志のかたまりとなった。