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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
木曾冠者
一
「えっ、その者に、なにか間違いでもござったか」
先のことばを聞かないうちに、虫の知らせか、武蔵は早口に問い返した。
木曾冠者
一
さっき関所茶屋から程遠からぬ場所で、本位田又八が、お通の牛に鞭打って、彼女ぐるみ、何処かへ攫って行ったということは、目撃していた旅人の口から伝わって、もうこの街道筋では、隠れもない噂ばなしにのぼっている。
丘にいたため、それを知らずにいたのはかえって武蔵一人であった。
その武蔵は今、倉皇と、もと来た道の方へ駈け戻って行ったが、すでに事件が伝わってから半刻ほども経た後のことである。
――もし彼女の身に何らかの危急が襲ったとすれば、間に合うかどうか。
「亭主、亭主」
関所の柵は、六刻で閉まる。それと一緒に、床几をたたんでいた茶店のおやじは、後ろに立って、こう喘ぎ声でよぶ人影に、
「なにかお忘れ物でも?」
と、ふりかえった。
「いや、半刻ほど前に、ここを通った女子と少年を探しておるのだが」
「ああ、牛に乗った普賢様のようなお女中でございましたな」
「それだ。その二人を、牢人体の男が、無体に連れ去ったというが、その行く先を知るまいか」
「見ていたわけではございませぬが、往来の噂では、この店の首塚のある所から横道へ曲って、野婦之池の方へ、どんどん駈けて行ったと申しますが」