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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
六
外記は、そういってなお、
「そうじゃ、こういうお話もある。それは、朝鮮御渡海のとき――」
と、話しつづける。
「あの役の折には、小西、加藤など、各※(二の字点、1-2-22)が功名争いして、いかがわしい聞えもござったが、政宗公のお態度はどうであったか。朝鮮陣中で、背に日の丸の旗差物をさして戦われたのは、政宗公おひとりでござったぞよ。お家の御紋もあるに、何故に左様な旗差物をお用いあるかと人が問われた時、公はこう仰せられた。――いやしくも海外に兵をひっさげて参った政宗は、一伊達家の功名などで戦い申そうか。また、一太閤のために働き申すのでもない。この日の丸の旗を故郷のしるしと見て身を捨て申す覚悟――とお答えになったとか」
武蔵は、何しろ興味ふかく聞いていた。外記は杯を忘れている。
六
「酒が冷えた」
外記は手をたたいて女を呼んだ。そしてなお、酒をいいつけそうなので、武蔵はあわてて、
「もう十分です。私は湯漬を頂戴いたしたい」
固辞すると、
「……何の、まだ」
と外記は、残り惜し気に呟いたが、相手の迷惑を思ったか、急に、
「では、飯を貰おうか」
と、女へいい直した。