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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

「…………」

口をきくのも嫌になったように皆、それにも答える者がない。

「棺桶屋が、待っておりますが……」

と仲間の催促に、初めて一人が、

「まだ取りにやった死骸が届かぬから、よく分らぬが、多分、もう一つぐらい要るだろうから、後のも頼んで、届いたのは、物置へでも一時仕舞っておけ」

と、重たい口吻でいった。

やがて棺桶は、物置のなかにも積まれ、めいめいの頭の中にも、その幻影が、一個ずつ積まれた。

講堂で、通夜が営まれた。

病室へは知れぬように、極めてそっと送ったが、勘兵衛もうすうすわけを知ったらしく見える。

しかし、何も訊かないのだ。

そこへ侍いている新蔵もまた、何も告げなかった。

激していた人々は、その日から殆ど唖みたいに黙って暗鬱になり、誰よりも消極的で、誰からも臆病者に見えていた北条新蔵のひとみには、もう我慢ならないといったようなものが常に底に燃えていた。

そうして彼は独り、

(今に、今に)

と、来る日を待っていた。

その待つ日の間に、彼はふと、或る日、病師の枕元から見える巨きな欅の木の梢に、一羽の梟が止まっているのを見つけた。

その梟は、いつ眺めても、同じ所の梢にとまっていた。