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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
こん夜も、浮いた顔いろでないが――時々、宗矩が、表の部屋で、ただひとり寂然としている姿など見ると、
(何か奥であったのではないか)
と、兵庫のような、独身者の神経にも、思い遣られることがある。殊に、宗矩は、真面目な質だけに、女のいうことばだからといって、大まかに、
(黙っておれ)
と、一喝しておくことができない良人であった。
表に対しては、将軍家師範という大任を感じていなければならない良人はまた、妻室へはいっても何かと要らない気をつかわなければならなかった。
――といって、そんな顔いろも愚痴も人には示さない宗矩だけに、ふと、沈湎と独りの想いに耽ることが多かった。
「助九郎とも、相談してお煩いのないようにしましょう。お通どののことは、てまえと助九郎におまかせおきください」
叔父の心を察して、兵庫がいうと、宗矩は、
「はやいがよいな」
と、つけ加えた。
その時、用人の木村助九郎がちょうど、次の間まで来て、
「――殿」
と、文筥を前に、灯影から遠く坐った。
「なんじゃ」
振顧ると、その宗矩の眼ざしに向って、助九郎は膝をすすめ直して告げた。
「お国許から、ただ今早馬のお使いが到着いたしました」