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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

三

「かしこまりました」

一応は、病人に従って、彼はこういったが立とうとはせず、

「しかしお父上、今のさむらいの何処がそんなにお気に召しましたか。この御病間の窓から、後ろ姿をご覧になっただけでしょうに」

「おまえには分るまい。――それが分る頃になると人間も、もはやこの通り寒巌枯木に近くなる」

「でも、何か理由が」

「ないこともない」

「お聞かせ下さいませ。余五郎などには後学にも相成りましょう」

「わしへ――この病人にさえ――今の侍は油断をせずに行った。それが偉いと思う」

「父上が、こんな窓の中に、お在でになることを、知る筈はありませぬが」

「いや、知っていた」

「どうしてでしょう」

「門をはいって来る時、そこで一足止めて、この家の構えと、明いている窓や明いていない窓や、庭の抜け道、その他、隈なく一目に彼は見てしまった。――それは少しも不自然なていではなく、むしろ慇懃にさえ見える身ごなしではいって来たが、わしは遥かにながめて、これは何者がやって来たかと驚いておったのじゃ」

「では、今の侍は、そんな嗜みのふかい武士でしたか」

「話したら、さだめし尽きぬ話ができよう。すぐ追いかけて、お呼びして来い」