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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

六

ただ今、伝七郎様が早駕でお着きになったそうでございます。すぐこれへ見えられましょう」

雨戸を開け、火鉢に炭をつぎ、敷物をおいて待つ間もなく――

「ここか、兄貴の部屋は」

伝七郎の声が襖の外に聞える。久しぶりな!

と思いながら、清十郎は、その弟に対してすら、いまの姿を見られるのが辛い気がした。

「兄上」

入って来た弟へ、清十郎は弱いひとみを上げて、笑おうとしたが笑えなかった。

ぷーん、弟の体から酒の香がにおう。

六

「どうなすった兄上」

伝七郎の余りに元気な様子は、病人の神経に重圧をおぼえるらしい。

「…………」

清十郎は、眼をふさいで、しばらく何もいわなかった。

「兄上、こんな時にはやはり、不肖な弟でも、頼みになるでしょう。委細を使いの者から聞くと、取る物も取りあえず、御影を立って、途中大坂の傾城町で旅支度や酒をととのえ、夜を冒して、駈けつけてまいったのですぞ。――ご安心なさるがいい、伝七郎がまいったからには、もうこの吉岡道場に、誰が来ようと、一指もささせませぬ」

そして、茶を入れて来た門人へ向い、

「おいおい、茶はいい。茶はいいから、酒を支度してくれ」

「はい」