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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

しかしそれを、危なくないからといって、見ている世の中では面白くない。やはり危ながったり、危なそうに見せたりするうちが、世の中の至妙でもあるし、遊戯の世界の滋味でもある。

わけてもまた、紹由老人のように、酢いも甘いも知り尽くし、遊びの裏も表も心得ぬいている客になると、同じ酔っぱらいでも、扱いいいようで大いに扱い難い。遊ぶ心と、遊ばせる方の心とが蹌々、歩いている間も、不即不離、つまり阿の呼吸というものである。

「船ばし様、おあぶのうございまする」

と妓たちが庇えば、

「なんじゃ、馬鹿にするな。酔えば、足が、ひょろけるが、心は、ひょろけてはいないぞ」

と、むずかるし、

「では、おひとりでお歩き遊ばせ」

と離せば、廊下へ、ぺたと坐ってしまって、

「――すこし草臥れて候。わしを負ぶってくれい」

と、いう。

いくら広いにしたところで、同じ家のべつな部屋へ行くのに、廊下続きでこうさんざん手間どらせて道中しているのも、紹由にいわせれば、これも遊びの一つというに違いない。

なんでも知らない顔をしながら、なんでも知っているこの酔客様は、途中でこんにゃくのようになって、妓たちを手古ずらせていたが、その寒巌枯骨ともいえるような細ッこい老躯の中には、なかなか利かない気性が潜んでいるらしく、さっき白紙の返書を遣こしたり、あちらの別室で、吉野