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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
――竹の櫺子にやっと鼻が届く。
「……ア、お師匠様だ」
覗き見した行為に顧みて、彼は、声をのんでしまったが、そこからでも手を伸ばしたいような懐かしい人の姿に、城太郎は久し振りで出会った。
炉のそばに、武蔵は、手枕をかってうたた寝していた。
「――暢気だなあ」
と、呆れ果てたような丸い眼が、そのまま、窓の竹格子に、貼り付いていた。
快げに昼寝している武蔵のからだの上には、誰がそっとかけて行ったのか、桃山刺繍の重そうな裲襠が着せてあった。また、彼の身に着けている小袖も、常のごつごつした地味なものとは違い、伊達者の好みそうな大柄の着物を着ていた。
少し離れて、一枚の朱い毛氈が敷いてあり、画筆だの、硯だの、紙だのが散らかっている。その反古のうちには、手習いしたような茄子の絵や、鶏の半身などが見えた。
「こんな所で、絵なんぞ描いていたんだぜ。お通さんの病気を知らないでさ」
城太郎は、ふと、憤りに似たものを胸に抱いた。武蔵のからだにかけてある女の裲襠が気に喰わないのである。また、武蔵の着ている派手な着物に嫌厭がわくのであった。彼にも、そこらに漂っている艶めいたものの匂いは分っている。