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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
ここを下りたら、おいら達も、朝飯を食べようぜ」
「城太さんも歌わない」
「なんの歌」
「白楽天といったので思い出したんです。いつか、城太さんが、烏丸様の御家来に教わっていた詩があったわね。覚えている? ……」
「長干行か」
「ええ、あれ。あの詩を、聞かせて下さいな。書を読むような節で結構ですから」
「……妾ガ髪始メテ額ヲ覆ウ
花ヲ折ッテ門前ニ戯レ
郎ハ竹馬ニ騎シテ来リ
牀ヲ遶ッテ青梅ヲ弄ス……」
城太郎はすぐ口誦さんで、
「この詩かい」
「そう。もっと続けて」
「……同ニ長干ノ里ニ居リ
両小嫌猜ナシ
十四、君ノ婦トナッテ
羞顔未ダ嘗テ開カズ
頭ヲ低レテ暗壁ニ向イ
千喚一トシテ廻ラズ
十五、始メテ眉ヲ展ベ
願ワクハ塵ト灰ヲ同ニセン
常ニ存ス抱柱ノ信
豈上ランヤ望夫台
十六、君遠クヘ行ク……」
城太郎はふいに起って、じっと聞き入っていたお通を促した。
「詩よりも、おいらは、お腹が減っちゃったい。早く、大津へいって朝飯を食べようよ」
送春譜
一
まだ天地は濡れている。
家ごとの炊煙は、曙けたばかりの町の上へ、戦のように立ちのぼっていた。大津の宿駅は、湖北から石山までぼかしている朝がすみと、その熾な煙の下に見えてきた。