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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

(――どうなるのだ、こうして二人は。おれの剣は!)

山を仰いで、彼は唇を噛んでいた。余りにも小さい自分が恥じられてくる。そうして、駒ヶ岳と対い合っていることさえ苦しくなってくる。

「まだ来ない」

耐りかねて、ぬっと立った。

それは、もう疾うに、後から見えて来なければならないはずの、お通と城太郎へいった呟きである。

今夜は藪原で泊るといってあるのに、宮腰の宿場もまだ遥かてまえなのに、すでに陽は暮れかけているではないか。

ここの丘から見ていると、十町も先の森まで、一眸に街道は見渡されるが、それらしい人影はいつまでも見出せない。

「はてな? ……。関所でなにか暇どっているのだろうか」

捨てて行こうかとすら惑いながら、その影が、うしろに見えなくなれば、武蔵はすぐ心配になって、一歩も先へは出られなかった。

そこの低い丘から彼は駈け降りた。この地方に多い放し飼いの野馬が、彼の影に愕いたもののように、薄陽の原を八方へ逃げて飛ぶ。

「もしもし、お侍さま。あなたは牛へ乗った女子衆の、お連れ様じゃございませんか」

彼が、街道へ出るとすぐ、往来の一人が、そういいながら側へ寄って来た。