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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

「お侍さん、ここが奈良井の大蔵様のお宅でございますよ」

案内してくれた熊の胆屋の丁稚は、なるほど、側まで連れて来て貰わなければそれとも分るまいと思われる――目の前の大家を指さして、すぐ走り戻って行った。

店と聞いていたが、暖簾も看板も懸けてはない。渋で塗った三間の出格子に、二た戸前の土蔵がつづき、その他は高塀で取り繞らしてある。入口には、蔀障子が下りていて、訪れるにも、ちょっと億劫なほど、大きな老舗の奥ふかさを持っている。

「ご免」

武蔵はそこを開けていう。

中は暗い。そして、醤油屋の土間のように広くて、冷たい日陰の空気が顔に触れた。

「どなたさまで――」

と、帳場箪笥の隅から程なく立って来る者がある。武蔵は、後ろを閉めて、

「それがしは宮本と申す牢人者ですが、連れの城太郎――ようやく十四歳ほどの童が、昨日か――ことによると今朝あたり――ご当家を頼って来たように途中で聞いて参りました。もしやご当家のお世話になってはおりますまいか」

武蔵のことばが終らないうちに、番頭の顔には、ああその子供か――という頷きが漂い、

「それはそれは」

と、丁寧に敷物をすすめたが、辞儀をした後の返辞は、武蔵を失望させるものだった。