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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

かたな談義

一

その上にまた、長々と、刀箱から涎をたらして、何時覚むべしとも見えない体なのである。

「ごめん!」

少し声を張って、武蔵はもう一度、荘子の寝耳を訪れた。

かたな談義

一

武蔵の声が、ようやく耳にはいったとみえ、厨子野耕介は、百年の眠りから今醒めたように、おもむろに顔を上げて、

「……?」

おや、といいたげに、武蔵のすがたを、まじりまじり眺めている。

程経て、

「いらっしゃいまし」

やっと、自分が居眠っていたところへ客が来て、何度も起されたことを覚ったらしい。にたりと、涎のあとを掌でこすって、

「何か御用で」

と、膝を直していう。

怖ろしく暢んびりした男である。看板には「御たましい研所」と高言しているが、こんな男に武士の魂を研がせたら、とんだ鈍ら刀になってしまうのではあるまいか――一応案じられもする。

だが、武蔵が、

「これを」

と、自分の一腰を差し出して、研ぎをかけてもらいたいというと、耕介は、

「拝見いたします」

さすがに、刀に対うと、痩せた肩を、突兀と聳え立て、片手を膝に、片手を伸ばして、武蔵の腰の刀を取って、慇懃に頭を下げた。

人間が来た時には、ぶあいそに下げもしなかった頭を、刀に対しては、まだそれが名刀か鈍刀かも知れないうちから――まず鄭重にこの男は礼儀をする。