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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

二

「戦場で使ったことはない。ただ、持たないには勝ろうかと、常に帯びている刀で、銘も素姓もない安刀でござる」

と、説明すると、

「ふむ……」

と、耕介は、相手の顔を見まもりながら、

「これを、どう研げというご注文ですか」

と、いう。

「どう研げとは?」

「斬れるように研げと仰っしゃるのか、斬れぬ程でもよいと仰っしゃるのか」

「元より、斬れるに越したことはない」

すると耕介は、さもさも驚嘆するような顔をして、

「え。この上にも」

と、舌を巻いていった。

二

斬れるべく研ぐ刀である、斬れるだけ斬れるように研ぐのが研師の腕ではないか。

武蔵が不審り顔に、耕介の顔を見ていると、耕介は首を振って、

「てまえには、この刀は、お研ぎできません。どうか他へ研ぎにやって下さるように」

と、武蔵の腰の刀を押しもどした。

わけのわからない男、なぜ研げないというのかと、断られた武蔵は、やや不快な顔いろをつつめなかった。

――で、彼が黙っていると、耕介も、ぶあいそに、いつまでも、口を緘んでいる。

すると門口から、

「耕介どん」

と、近所の者らしい男が覗きこんで――

「お宅に、釣竿があったら貸しておくれぬか。