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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

思いがけなく、お通とこんな旅をすることのできた機会を、欣ばずにいられなかった。

「――あらっ」

何を見たか、お通は、ぎくと脚をもどした。

「なにか?」

兵庫の手は無意識に、その背を庇う。

「……何かいます」

「どこに」

「おや、子供のようです。そこの道傍に坐って。……何でしょう、気味のわるい、何か、独り言をいって、喚いているではございませんか」

「……?」

兵庫が近づいて見ると、それは今日の暮れ方、お通と邸へもどる途中、草むらの中にかくれていた見覚えのある童子であった。

五

兵庫とお通のすがたを見ると、

「――あっ」

何を思ったか、伊織は、やにわに跳ね起きて、

「ちくしょうッ」

と、斬りつけて来た。

「あれっ」

お通がさけぶと、お通へも、

「狐め。この狐め」

子供の小腕だし、刀も小さいが、侮り難いのは、その血相である。なにか、憑り移っているように蒐って来る向う見ずな切先には、兵庫も、一歩退かなければならなかった。

「狐め。狐め」

伊織の声は、老婆みたいにシャ嗄れていた。兵庫は不審に思って、彼の鋭鋒を、そのなすがままに避けて、しばらく眺めていると、やがて、

「――どうだッ!」