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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

三

見廻して、訊ねると、

「もう、出かけましたぜ。佐々木先生の住所を教えろというから教えてやると、早のみこみに、たった今」

「しようのねえ婆さんだな。――おいおい小六兄哥」

広い若者部屋へ、声をかけると、遊び事をしていたお稚児の小六が、飛び出して来て、

「なんだ兄弟」

「なんだじゃねえ、おめえが呑み込んだまま、ゆうべ佐々木先生の所へ行かなかったものだから、ばあさんが、癇癪を起して、一人で出かけちまッたじゃねえか」

「自分で行ったら、行ったでいいだろう」

「そうもゆくめえ。親分が帰えって来てから、告げ口するにちげえねえ」

「口は達者だからな」

「そのくせ、体はもう、蟷螂みてえに、折ればポキリと折れそうに痩せこけてやがる。気ばかり強いが、馬にでも踏まれたら、それっ限りだぞ」

「ちぇっ、世話がやけるな」

「すまねえが、今出かけて行ったばかりだから、ちょっくら、追いかけて行って、小次郎先生の住居まで、連れて行ってやってくれよ」

「てめえの親の面倒さえ見たことがねえのに」

「だから、罪亡ぼしにならアなあ」

遊び事を半ばにして、小六はあわてて、お杉のあとを追いかけて行った。

菰の十郎は、おかしさを噛みながら、若者部屋へはいって、ごろりと、片隅に寝ころんだ。