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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
心形無業
一
人が斬られているっ――」
と、闇へ向ってどなった。
その声と共に、新蔵の首すじから、ちょうど蛤の片貝ほど、肉を削ぎとられている傷口が、ぱくと赤い口をあいて、こんこんと温い液体を、耕介の腕から裾へそそぎかけた。
心形無業
一
ぼとっ――と、時折、中庭の闇で青梅の実の落ちる音がする。武蔵は、一穂の灯に向って屈みこんだまま顔も上げない。
灯皿から燃えゆらぐ小さな燈火は、側近く俯向いている彼の蓬々とした月代を鮮らかに照らして余す所がない。彼の髪は毛の硬い性と見えた。そして油気がなくてやや赤っぽい。またよく見ると、その毛の根には、大きな灸の痕みたいな古傷がある。幼少の時に病んだ疔という腫物のあとで、
(こんな育て難い子があろうか――)
と、よく母を嘆かせたそのころの、きかない性分の痕は、まだ、まざまざと消えきらずにあった。
――彼は今、心のうちで、その母をふと思いうかべ、刀の先で彫り刻んでいる顔が、だんだん母に似てくるように思われた。
「…………」
先刻。
いや、たった今し方。
ここの中二階の障子の外から、この家の主の耕介が、はいるのを憚って、
(まだ、御精が出ていらっしゃいますか。