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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

――相手へいったつもりでも、それは独り語の独り合点をしていたのである。

手早く身支度をし、庵の持主や、銀閣寺の僧や、世話になった人々へは、一筆ずつ礼の辞を置手紙にのこし、もう、足拵えまでして、先に戸外へ出た。

そして、家の中にぶっ坐って、膨れ顔している城太郎に向い、

「城太さん、おまえはもう、先刻お支度をしていたからそれでいいんでしょ。……さ、早く出ておいで。後を閉めて行かなければならないから」

「知らない、おいらは。――どこへ行くのさ」

てこでも動く顔つきではない。城太郎は、すっかりお臍をまげてしまった。

四

「城太さん、怒ったの」

「怒ったさ! 当り前だい」

「どうして」

「勝手だから、お通さんは。――おいらが折角捜し当てて来て、行こうという時には、行かないといっておきながら」

「でも、その理由は、よく話したでしょう。ところが今、武蔵様の方からお便りがあったんですもの」

「その手紙だって、自分だけで見て、おいらには、読ませてくれないじゃないか」

「アアほんとに、それは悪かった。御免よ、城太さん」

「もういいよ、もう見たくなんかない」

「そう、ぷんぷん怒らないで、この手紙を見ておくれ。