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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

「気がついたかい」

皆に問われて、城太郎は、間がわるそうに、自分の木剣を拾うが早いか、歩き出した。

「これこれ、お前と一緒に出た女子はどうした」

宿屋の手代は、あわてて彼の腕をつかまえた。

そう訊かれて、彼は初めて、この人々が、奥に泊っている角屋の者と、旅籠の雇人たちで、朱実を探しに来たものと知った。

誰が発明したのか、重宝がられて上方でも流行っている「ちょうちん」と呼ぶ物が、もう関東にも来ているとみえ、それを持った男だの、棒切れを持った若者などが、

「おまえと、角屋の女子が、侍につかまって、難儀をしていると、知らせてくれた者があるのだ。……何処へ行ったかおまえは知っているだろうが」

城太郎は、首を振って、

「知らない。おいらは、何も知らない」

「何も? ……ばかをいえ、何も知らぬことがあるものか」

「何処か、彼方のほうへ、抱えて行ったよ。それきりしか、知らない」

城太郎は、とかく返辞をいいしぶった。関り合いになって、後で奈良井の大蔵に叱られることが恐かったのと、もう一つの理由は、相手に抛りつけられて、気絶してしまった不覚を、大勢の前でいうのが、間がわるいのであった。