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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

「小僧、どうしたか」

「今、粟を背負って、帰ってゆきましたが」

と、そこにいる者の答え。

耳を澄ますと、真っ暗な外の何処かを、頓狂な木の葉笛の音が流れてゆく――

ぴき、ぴー

ぴッぴッき、ぴーの

ぴよ助、ぴゅー

伊織は、いい歌を知らないのが残念だった。馬子の唄う謡は、木の葉の音に乗らないのである。

お盆になると、踊りにうたうこの地方の歌垣から転訛したような謡も、木の葉笛には複雑すぎてだめだった。

結局、彼は、神楽囃子の律調を頭に描きながら、木の葉を唇に当て、しきりと妙な音を吹きたてて道の遠さを忘れて来たが、やがて法典ヶ原の近くまで来たかと思う頃、

「おやっ?」

と、唇の木の葉を、唾と一緒に吐き出して、同時にがさがさと傍らの藪へ這いこんでしまった。

二筋の野川は、そこから一つになって、部落の方へ流れている。その土橋のうえに三、四人の大男が、顔を寄せて何かひそひそ声を交わしているのである。

伊織は、その人間たちを見たとたんに、

「――あっ、来た」

と、先おととしの秋の晩頃の、或る事を思い出したのであった。

子を持つこの辺の母親は、ふた言めにはすぐ、

(山神さまの輿へ入れて、山の衆へくれっちまうぞ)