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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

「面倒だ、その綱を、馬に繋いでしょッ引かせろ」

馬の背には、どの馬にも掠めて来た財物や穀類が山と積んである。その一頭へ数珠つなぎの綱の端を結びつけ、そして、馬の尻をぴしぴし打った。

女たちは悲鳴をあげながら、駈ける馬と一緒に駈け出した。仆れる者は黒髪を地に引き摺って、

「腕が抜けるッ、腕が抜ける――」

とさけんだ。

わははは、あははは、大笑いしながら、土匪たちは、その後から一団になって尾いて行った。

「やいやい、こんだあ少し早すぎら。加減しろやい」

後ろからいううちに、馬も女の群れも止まった。――だが馬の尻を打っていた土匪の仲間は、うんともすんとも答えなかった。

「あれ、こんだあ止めて待ってやがる。ドジめ」

げらげら笑う声がすぐそれへ近づいて行った。嗅覚のつよい彼らは、すぐぷんと血のにおいをそこに感じた。――オヤ? と眼もいっせいに竦み合った。

「だ、だれだッ」

「…………」

「だれだッ、そこにいるなあ」

「…………」

彼らが認めた一個の人影は、のそのそと草を踏んで向って来た。手に提げている白刃からは、霧のように血のにおいが立っていた。

「……や、や」

前の者から踵を退いて、ず、ず、ず、と後ろへ押し合った。