輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
「人と人とが円満に住んでゆければ地上は極楽だが、人間は生れながら神の性と、悪魔の性と、誰でも二つ持っている。それが、ひとつ間違うと、この世を地獄にもする。そこで、悪い性質は働かせないように、人なかほど、礼儀を重んじ、体面を尊び、また、お上は法を設けて、そこに秩序というものが立ってくる。――おまえが先刻したような不作法は小さいことだが、そういう秩序の中では人を怒らせるのだ」
「はい」
「これから、何処へどう旅して行くか知れぬが、行く先々の掟には素直に、人には礼儀をもって対うのだぞ」
噛んで含めるようにいい聞かせると、伊織は、何遍もこっくりして、
「分りました」
と、早速に言葉もていねいになったり、取って付けたようなお辞儀もしてから、
「先生、また落すといけませんから、これを、済みませんが、先生のふところに持っていて下さい」
と、さっき渡船の中へ忘れてしまうところだった襤褸の巾着を、武蔵の手に預けた。
それまでは、かくべつ気にも止めなかった武蔵は今、手にしてふと思い出した。
「これはお前が父から遺物にもろうた品ではないのか」
「ええそうです。徳願寺へ預けておいたら、今年になって、お住持さんが、黙って返してくれた。