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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
それが、お通と、柳生兵庫とであった。
助九郎がお通を連れて来た場合は、それが石舟斎に侍いていたこともある女性なので、但馬守も、
(心おきなく、何日までも足を留めておるがよい。奥向きの用なども手伝うてもらおう)
と、気軽であったが、後から甥の兵庫も来て、共に寄食するようになると、
(若いふたり)
という眼をもって視なければならなくなったので、何か、絶えず家長としての気ぼねを抱くようになっていた。
――だが、甥の兵庫という人物は、宗矩とちがって、至って気楽な性質とみえ、叔父がどう見ようが思おうが、
(お通どのはいい。お通どのはわしも好きだ)
と、いって憚らないふうであった。しかし、その好きだ――というにも多少の見得はつつんでいるとみえ、
(妻に)
とか、
(恋している)
とか、そんなことは、叔父にもお通にも、決して口に出すことはなかった。
さて。
――その二人は今、駒の口輪を挟んで、とっぷり暮れた日ヶ窪の谷へ降り、やがて南面の坂を少し上ると、すぐ右側の柳生家の門前に足をとめ、兵庫がまずそこを叩いて、門番へ呶鳴った。
「平蔵、開けろ。――平蔵。――兵庫とお通さんのお戻りだぞ」