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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
すべてこの晩の決行には、島内の土着武士と島外の宮方との、緊密な一致があった。しかしこの挙をみるまでの彼らの暗躍や苦心などに至っては、帝もご存知ないことが多かった。
まず、彼らは努めて、帝に近づかないことを旨とした。ただ月日にかけて、ひっそりと企画をすすめていたのである。
それも帝のお身一つでなく、三人の妃、二人の公卿侍者をもあわせてという救出なので、その万全には、よほどな準備をもたぬかぎり、踏み出せなかった。
が、鰐淵寺の寺船を介して、海賊岩松の党とむすびつき、また能登ノ介が、柵を留守にするなどの機密をえてから、事は急速にはこばれていた。
そこで、すでに今夕には、西島や中ノ島にひそんでいた一味はみな黒木の御所附近へ入り込んでいたのである。四崖は海を恃んで無防禦にひとしい丘である。柵内へしのび入るなどは何ら至難なわざではない。
そのうえ、頃をはかって、浦の民家から代官屋敷附近へ火を放って、守備兵をそっちへ引きよせる計もべつに立てていた。そしてこの策もほぼ図に中った。いや何も知らなかった能登にとってはただ仰天のほかはなかった。彼がここへのぞむ以前に、はや帝の身は、成田小三郎らの一味に擁されていたのである。